MBA体験記05~MBAの必要性を痛感~
ニューヨーク支店の後は、東京本社にあるM&Aの部署に配属されました。
本当は、ニューヨークでM&Aの仕事をするのが理想でした。
でも、当時、証券会社をはじめ金融業界の業績は低迷が続いていました。
「海外で遊んでいないで、国内に戻ってきて稼げ!」と多くの人が日本に戻されました。
海外支店は軒並み赤字だったのです…。
私もその内の一人で、たった一年のニューヨーク生活が終わりました。
ちなみに帰国して2ヶ月後に山一証券が破たんしました。
野澤社長の有名な記者会見はバブル崩壊の象徴として、ことあるごとに放映されています。
その波は日興証券にも来ました。
その後、間もなく外資と組むことになり、海外支店はほぼ閉鎖となったのです。
ギリギリのタイミングで海外に行けたことは、本当にラッキーでした。
さて、憧れていたM&Aの仕事です。
私が担当した仕事は大きく三つありました。
一つは、「M&Aの提案」です。
ある業界を調査し、M&Aを行うメリットのある会社を抽出・分析する。
「M&Aをするとこれくらいのシナジー効果があるので、どうですか?」
そういう提案をするものです。
二つ目は、「企業価値評価(Valuation)」です。
「ある企業の株式の価値はどれくらいなのか?」
「M&Aにより会社の財務諸表がこのように変わるので、株価はこれくらいになる」
このような試算をするものです。
三つ目は、「M&Aスキームの立案と実行(Execution)」です。
M&Aといっても、合併や株式交換、TOBなどその形態は様々です。
その中で、どのスキームを選択するのが良いのか?という提案。
また、法律あるいは取引所ルールに基づいて必要な手続きを行っていく。
このような仕事もありました。
この内、最初の二つは、MBAで学ぶ内容に非常に近いものです。
特に、最初の「M&Aの提案」は、戦略を立案するプロセスそのもの。
なので、経営戦略などMBA的な知識がモロに求められました。 そこで、一通り本で勉強してみましたが、付け焼刃の知識しか身に付きません。
ある大手電機メーカーの経営企画部長からも、よくお叱りを受けました。
「こんなことも知らないで、よくM&Aのアドバイスができますね?」
そのたびに、会社に戻ってから業務の合間を縫って勉強をしていました。
また、二つ目の「企業価値評価」では、高度な会計やファイナンスの知識が求められました。
大学で会計学を専攻していましたが、理論のレベルです。
実践では全く歯が立ちません。
それにファイナンスになると、ほとんど初めて勉強する領域です。
こんな状態だったので、ある大手自動車メーカーの財務部長からも同じことを言われました。
私は、20代後半の4年間、M&A業務に携わってきました。
仕事上、こんな感じでMBAに関する知識が求められていました。
なので、一応、勉強はしてみる。
でも、実践で使えるレベルにはならず、客先で恥をかくことばかり…。
「MBAで経営全般について一通り勉強したい!」
そんなことを、おぼろげながら考えるようになりました。
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