リーダー語録:酒井誠一さん1
日本におけるフライ、ルアーのパイオニア
私は大学卒業後、富士ゼロックスに入社しました。同社は研修期間も長く、その中で仕事の型を叩き込まれました。「ザ・ドキュメント・カンパニー」という標語があるように、特に資料のつくり方を学びました。また、有言実行型の先輩方が多く、大企業病にもなっておらず、くたびれた社員が少ない。当時社長だった小林陽太郎さんの上品さが社内にも漂っているようでした。このまま、ここに骨を埋める気でいましたが、入社2年目のとき、父から「会社を上場させるから、その準備をして欲しい」と言われ、父の会社に転職することにしました。
父は、1969年に株式会社ティムコを創業し、欧米のスポーツ用品の輸入販売を手掛けました。当時から欧米では、豊かな余暇時間を過ごす様式があり、日本も将来こうなることを予感。その中でもフライやルアーといった擬似餌で魚を釣るスタイルが日本でも流行ると確信。いち早く関連用品の輸入販売を開始しました。目論見通り事業を拡大させていきましたが、輸入元の米国企業の中には身売りを繰り返すケースもあり、事業の安定性に危機感を感じていました。そこで、自分たちの意志でコントロールできるオリジナル品が必要と考え、開発に着手することにしました。最初に手掛けたのがフィッシングベストです。
当時は欧米のベストしかなく、縫製やサイズは日本市場に受け入れ難いものでした。「我々が日本人に合った本物のクロージング(衣料)をつくろう」と、1982年に「Foxfire(フォックスファイヤー)」というブランドを立上げました。その後、総合アウトドアブランドとしてアイテム拡大し、新たな事業の柱となります。そして、フィッシングの分野でも、釣ばりやツール等の自社開発を進めた結果、輸出もできるようになり、欧米の釣人からも支持を得られるようになっていきました。また、フライフィッシングのスクールも開校して、啓蒙・普及する活動にも力を入れていきました。
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