リーダー語録:横山周史さん3
30社周っても資金調達できずに苦しんだ日々
当社のビジネスで苦しかった時期は、2006年から2012年頃までの6年間です。2005年頃に、いわゆる「バイオブーム」があり、バイオ系のベンチャー企業がたくさん設立されました。ただ、ブームが終わると長く氷河期が続きます。バイオビジネスは、ITと違って、時間もお金もかかる「実験」をしなければなりません。どうしても投資先行、赤字先行になります。多くの企業が黒字化するまでもたずに潰れていきました。
2004年頃、ES細胞を利用した世界的なバイオベンチャー企業が世界で勃興してきました。でも、その後、全部潰れました。理由は、どの会社も「研究」をやろうとしていたから。確かに、バイオビジネスは、一発当てると多額の収益を手に入れるチャンスがあります。そこで、資金の出し手であるベンチャーキャピタル(VC)は、「再生医療のような夢のある大きなビジネスに打って出たら?」と勧めてきます。でも、当時は、「まだ機が熟していない」とその分野には敢えて手を出しませんでした。そうではなく、試薬や創薬向けの技術提供をするなど、資金繰りを考えて地道に収益を上げるビジネスをしていました。当社は「研究」ではなく、「ビジネス」をやろうと決めていたからです。
案の定、VCにはあまり受けませんでした。「副業をやっていても仕方ないでしょ。」などと言ってきます。でも、方針は変えませんでした。とはいってもお金のかかるビジネスです。2007年頃には、さすがに当社も資金面で厳しくなってきました。資金調達のため、VCを30社周りましたが、全部断られました。このときは、「30社も周って全滅か。あと数ヶ月分しか資金がないし、さすがにダメかな?」と思ったりもしました。ただ、その後、方針を変えてVCではなく事業会社を回ることにしました。資金面だけでなく事業面での提携も含めて提案したところ、数社から資金を入れていただき、何とか持ちこたえることができました。
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