リーダー語録:杉元崇将さん5
失敗の経験から”学ぶカルチャー”を会社につくる
起業はしましたが、資金がなかったので、当初はすでに資産と組織を持っているレストランのウェディング・コンサルティングからビジネスを開始しました。翌月の売上見込みもないまま契約確保に奔走。幸い何社かとの契約にこぎつけることができました。初年度は5,000万円の売上目標としていましたが、ふたを開けると1億円を突破。この成功体験は大きな自信となりました。その後も他社が敬遠するような難しい案件にも積極的に取り組むことで成果を上げ、売上を倍々ゲームで伸ばしていきました。
起業した1990年代後半は、ビットバレーと呼ばれた渋谷にITベンチャーが集中していて、私も起業家が集まるイベントによく参加しました。時代はITバブル真っ盛りで、ものすごい高揚感。既に活躍されているベンチャー起業家が来ると熱狂的な盛り上がりを見せる。その場では、私と同じ歳くらいの人が「上場します」とか「100億円くらい売上がないとダメだよね」という話を普通にしている。そこで、私も「設立10年で売上100億円」という目標を立てました。
ところが、実際には設立10年目の売上高は60億円と目標未達。そのとき、自分の経営力に課題があると思いました。理由を考えたところ、「離職率の高さ」が原因の一つとわかる。そこで、過去のデータから退職理由を分析したところ二つの理由が見えてきました。一つは「会社で思ったようなキャリアの成長ができない」。もう一つは「会社の方向性やビジョンが見えない」という不満でした。確かに、創業後は目の前の事業に忙殺され、人財育成の仕組み、会社の方向性を示してメンバー(PDPでは社員をメンバーと呼ぶ)が自分の未来を描ける仕組みがありませんでした。
そこで、離職率を下げるために、「PDP WAY」という新たな企業理念と行動指針を明文化しました。そして、この3年間は会社の成長をあえて止め、人材育成に集中することを決めました。これを、「身長伸ばさず筋トレしまくる戦略」と名付け、人財育成を主眼に置いた組織風土改革に取り組みました。ちなみに、PDPでは、会社の使命(PDP MISSION)を「常に新しい視点で考え、常に自らで開拓することで、多くの人達に”夢”と”可能性”を与えていく」としています。このような取り組みにより、離職率は大きく改善し、今では「働きがいのある会社ランキング」でも上位に選出されるまでになりました。
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