リーダー語録:木下彩さん1
経営者の仕事は大きな決断をすること
私は、34歳のときに今のホテルの前身である「東京グリーンホテル水道橋」を運営する会社(株式会社UHM)の社長に就任しました。実は、そのときまで部下を持ったことも、経営を勉強したこともなかったのです。当初は、自信がなく戸惑うこともありました。周りの考えが間違っているように思っても、取り敢えず周りの言うことを聞いておけばいい。そう考えていたこともありました。ただ、それではうまくいかないことがわかり、徐々に自分の考えを言い、意思決定をするようになっていきました。
大きな決断だったのは、2004年にホテルの建て替えを決めたこと。それまでは父の代から始めたビジネスホテルを運営していましたが、大手チェーンの進出やインターネットの普及による価格競争の激化などにより競争優位を築くことが難しくなっていました。そこで、「価格ではなく、別の価値で選ばれるホテルをつくろう」と思い、「美しいモダンな和のホテル」という他にはないコンセプトに決め、今の「庭のホテル 東京」を新築オープンしました。
開業当初はリーマンショック後ということもあり稼働率が低い時期が続きました。ただ、私は楽天的な性格なので、「こんなにいいホテルなのだから、いずれ知名度が上がれば何とかなる」と考え、それほど落ち込むことはありませんでした。幸いクチコミを中心にホテルの評判が広がり、徐々にお客さまが増えていきました。経営者で一番大切な仕事は大きな決断をすること、そしてその責任を負うことだと思っています。私の場合、決断するとき悩んで夜眠れなくなるようなことがあまりないので、その意味では経営者に向いているのかな?と思っています。
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