リーダー語録:大嶋潤子さん4
心のスクリーンに映像を映し出すと夢が実現する
その後、ある音楽プロデューサーの方に出会い、クラシックからポップスに転向することにしました。クラッシックは、イタリアとかヨーロッパでは普通のおじさんが口ずさむ気軽さがあります。でも、日本では敷居が高い。これでは、多くの人にメッセージを伝えることができない。そう考えての決断でした。ただ、クラシックは裏声、ポップスは地声で歌います。そうそう簡単なことではありません。でも、その方から、「地声で歌わないと、隣のおばちゃんや16歳の女の子に想いを伝えられないよ」と言われ、訓練を始めました。そして、自主製作のオリジナルのコンサートを始めました。半分は自分の半生を語り、半分は歌う構成です。それを、トークコンサートと名付けました。
また、トークライブセミナーも始めました。一般に視覚障害に関するセミナーは、例えばアイマスクをして歩き、不自由さ、不便さを味わってもらうというマイナス面に焦点を当てたものばかり。でも、私は、視覚障害を持つと知覚能力が発達するというプラス面を取り上げることにしました。米国カリフォルニア大学のローレンス教授の研究によると、ある感覚を封じると、例えば目が見えていた人が失明すると、他の感覚が視覚を補おうとして潜在能力が働くとのこと。それは失明しなくても、60分アイマスクをしただけで、その能力は働き出すというのです。
例えば、目が見えなくなることで、脳裏に映像を映し出す能力が磨かれていきます。脳科学用語では、それを「知覚能力」と言いますが、私は「心のスクリーン」と呼んでいます。私の場合、自分が歌っている感覚を心のスクリーンにはっきりと映し出すことができます。表彰式でトロフィーをもらっているシーンも映画を見るようにありありと映し出せるのです。そして、見えたものは、すべて実現してきました。心のスクリーンに映し出した夢は実現するのです。それは、本来、誰でもできます。でも、目が見えていると他の感覚を使わなくて済むので、できない方が多いんです。
そこで、アイマスクを使って、他の感覚器官から得た情報を心のスクリーンに映し出すセミナーを開催することにしました。例えば、点図(点字の図版)の点を触ってもらって、どういう図なのか映し出す。赤とんぼの曲を早回しでかけて、「夕焼け小焼けの赤とんぼ〜」との歌詞を聴いて、その映像を映し出す。アロマなどの匂いを嗅いでもらって、それを映し出す。強制的に視覚を閉ざすと、想像力が存分に発揮できるんです。最初はみんな、見えないことに不安になります。でも、60分くらいすると、潜在力が目覚め、想像力が磨かれていきます。そんなワークに歌もつけたセミナーも始めました。
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