リーダー語録:大嶋潤子さん2
それから手探りでいろいろなことを始めていきました。「子供に離乳食をつくってあげたい」そう思い、区役所に「どうしたらいいか?」と相談に行きました。すると、視覚障害者生活支援センターを紹介してくれ、そこで掃除や料理など日常動作の訓練を始めました。ちなみに、点字のクラスもあり、そこで今の夫と知り合い、結婚しました。彼も、会社に勤めていたとき、突然失明し、会社を辞めて、ここに通っていたんです。
ただ、このセンターに行くには、家からバスで駅まで行き、電車に乗り、そこからまたバスに乗る。とても一人では行けない。そこで、ガイドヘルパー制度を利用して、付き添ってもらって通いました。でも、当時の制度は無料で利用できる時間が少なく、半年後には有料になってしまう。「半年で一人で行けるようになろう!」と覚悟を決め、杖の使い方や歩き方など必死に歩行訓練を受けました。その結果、半年後には、なんとか一人で行けるようになりました。
でも、家のことは何もできない。例えば、キッチンはセンターと家とでは大きさもシンクの場所も違う。物の位置を一から覚える訓練が別に必要でした。でも、なかなかうまくできず、最初の夕食をつくるのに5時間もかかりました。あと、布団も干せない。両手で持たないといけないので、片方の手を使って竿の位置を確認できない。重たい布団を地面に落としては拾い上げる。そんなことを繰り返す。心が折れそうになりましたが、そのたびに「不屈の精神」の五文字を思い出し、一つずつできることを増やしていきました。
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