リーダー語録:坂本健太郎さん1
技術とマーケティングをつなぐことを意識
私は大学を卒業してから、ずっとIT業界に身を置いています。これまでに何社か経験しましたが、現在はトレンドマイクロ社で情報セキュリティソフトの販路を拡大させるチャネルマーケティングを担当しています。会社は変わっても、仕事で意識してきたことは一貫しています。それは「技術とマーケティングをつなぐこと」です。
具体的には二つあります。一つは、技術に付加価値を付けて売れるものに仕立てること。素晴らしい技術でもサービスの要素が欠けていると全く売れません。自社だけでなくパートナーを巻き込んで「いかに技術の良さを活かして、顧客価値あるものにするか」を意識してきました。もう一つは、わかりにくい技術をわかりやすく伝えること。IT業界の用語は、とかくヨコ文字が多くわかりにくい。「いかにシンプルで、わかりやすくメッセージを伝えるか」も工夫してきました。
このことは20代で出会った上司に叩き込まれました。それまでは「技術的に良いものをつくろう」との思いが強かった。それが、その上司から「その技術って本当にお客さんのためになるの?商売になるの?」と言われ続けました。また、新しい技術ばかり追い求めていると「既に会社には良い技術が一杯あるはず。それらをもっと使えないの?」とも言われました。それ以来、技術一辺倒ではダメで、いかに技術にマーケティングの要素を盛り込むかを考えるようになりました。
そして、マーケティングのことを体系的に学ぶため早稲田MOT(技術経営大学院)に行きました。通常、ゼミは一つだけに入りますが、より広く学びたかったので二つ入りました。一つは寺本義也ゼミです。ここでは、まさに技術をビジネスサービスに落とし込む手法について研究しました。もう一つは木村達也ゼミです。こちらでは、顧客への価値提案について学びました。ちなみに、修論のテーマは「価値協創に基づくマーケティング戦略の構築と実践」です。
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