リーダー語録:倉貫義人さん3
社員と顧客の両方を幸せにするのが経営者の仕事
経営者としての仕事は、「社員と顧客の両方を幸せにする仕組みをつくること」と考えています。もともと起業したかったわけではなく、社内ベンチャーを立ち上げたことから成り行きで起業することになりました。それにエンジニアとして、「誰もつくっていないプログラムをつくってみたい」と、いいものをつくることにモチベーションを感じるタイプです。それもあり、数字への野心や野望がないんです。上場も結果としてするかもしれませんが、特に目指してはいません。それよりも、みんなが楽しく働ける会社にしたいと思っています。
社内ベンチャーを立ち上げたとき、経営の知識が全くありませんでした。ただ、アジャイル開発のプロジェクトマネジメントに関する本は、啓蒙活動をしていた関係で、死ぬほど読んでいたんです。そこで、チームビルディングなどの組織づくりやプロジェクトの進め方については勉強していました。ソフト開発の業界では、経営資源の100%が人です。「どうすれば人が気持ちよく働けるか?」そのことはずっと考えていました。結局、外発的な動機ではなく、内発的に動機づけられないと楽しく、いい仕事をすることができない。そんな考えに至ったことも人を大事にする経営につながっていると思います。
また、社内ベンチャーから独立するとき、5人の社員がいました。彼らは、いわば親会社からの出向組なので、親会社に戻る選択肢もある。そこで、彼ら全員と話をしました。「独立するけど、ついてくる?ついてきた場合はもう親会社には戻れない。それに会社が潰れるかもしれない。でも、ついてきて欲しい」すると、全員から即答でOKとの返事がありました。本当に嬉しかったです。上場企業の社員という肩書きや安定を捨ててまでついてきてくれた。その社員たちに報いよう。その考えは今も変わりません。社員がいないと社長は何も仕事ができない。社員を大事にする経営をしていこうと思っています。
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