Leaders1000 リーダーが語るの人生の軌跡

vol.006 柳井秀政さん

2015/08/27 (木)
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柳井秀政さん

食品会社
ブランドマネージャー

食品会社でブランドマネージャーをされている柳井さん。前職はスナック菓子のブランドマネージャーをされていました。現在は別の食品会社に移り、全く異なる商品のブランドマネージャーを担当されるなど食品業界で幅広く活躍をされています。今回は、特に「人生を変えた言葉や出会い」についてお話しいただきました。

人生を変えたおばちゃんたちの言葉

私は大学卒業後、スナックメーカーに入社し、研修を経て工場勤務に就きました。その2年後にある看板商品の開発担当になりました。そこでスナック菓子のレシピ開発や工場のオペレーションの標準化などに取り組みました。順調に販売数を伸ばしていましたが、売上が大幅に減少する危機に直面しました。

その売上回復のために新商品の開発を任されました。その新商品の立ち上げのため、開発担当者として工場の工程ごとに商品のチェックをしていました。そのとき工場にいた一人のおばちゃんから「あんたらが良い商品をつくってくれないと私らの仕事がなくなるんやで」と言われました。正直ショックでした。それまでは「良い商品をつくってお客様を喜ばせる」。そのことしか考えていなかった。それが「商品づくりに関わっている何千人もの方々の生活をも支えているんだ」との意識が初めて芽生えたのです。

実は同じような経験を入社直後にもしました。そのときにも、工場のおばちゃんから「この会社のお陰で娘を大学まで行かせることができて感謝している」という話を聞くことができました。「会社は商品だけでなく、仕事を生み出しているんだ」。そのような自覚を持つようになってから、一段高い意識で仕事に取り組めるようになりました。

柳井②

 

求めたときに人が現れるセレンディピティを感じる

30歳のとき、仕事でかなり落ち込んだ時期がありました。きっかけは商品開発の際に行うグループインタビューです。これは消費者から壁一枚はさんだところに陣取り、率直な声を聞くというものです。当時はこれがイヤで仕方ありませんでした。消費者はそれこそ言いたい放題。でも、その言葉は重く、商品開発に反映させなければいけない。

あるとき、「なんで壁の向こう側の意見で商品をつくらないといけないんだ!」と溜まっていた不満をあるコンサルタントにぶちまけました。すると、その方から「あなたの隣に座っている人はみんな消費者でしょ」と言われたのです。

このときも衝撃が走りました。それまでは会社任せで、自分でできることを棚上げしていたのです。それからは「チャット調査」と称して、身近な人から意見を聞く調査を独自に始めました。友達だと近すぎるので、「友達の友達」あたりを自宅に招き、フランクに意見を聞く。自己満足だったかもしれないけど、これがその後の開発にものすごく役立ちました。

柳井④

 

また、ブランドマネージャーになった32歳のとき、「ブランドって何?」というレベルから勉強をスタートすることになりした。そのときも、パッケージデザインの選定で悩んでいるときに、あるカラーコンサルタントの人に出会い、「補色の関係(補色同士の色の組合せは、互いの色を引き立てあう効果がある)」など教えていただき商品に反映することができました。

あと、「新商品の企画力を更に磨きたい!」と思っていたとき、知り合いから「商品開発リーダーの交流会があるけど参加してみない?」と言われました。参加してみると、いろいろな業界で活躍しているリーダーたちがいました。それぞれの方からアイデアを出すコツとか考え方を聞くことができ、それを参考に企画力をアップさせることができました。ちなみに、その交流会(CLIP)では商品開発の事例をまとめた本を出版しています。その記念に北海道に旅行に行ったのは良い思い出です。

このような経験から、「求めていれば、それを満たす人との出会いが必ずある」。そんなセレンディピティ(偶然の出会い)を実感しています。

柳井③

 

世界の飢餓をなくす活動に関わっていきたい

私は現在、転職して別の食品会社で働いていますが、食品に関わる仕事を続けていきたいと考えています。中でも、国連の機関である「国際連合世界食糧計画(WFP:World Food Progamme)」のような活動に注目しています。WFPでは、例えば「学校給食プログラム(Red Cup Campaign)」と称して、飢餓に苦しむ世界中の子どもを支援することを行っています。食品の業界に身を置くものとして世界の飢餓をなくす活動に関わっていくこと、これが私の夢です。

柳井⑤お花畑

 

プロフィール

1994年東京農業大学農学部醸造学科卒業後、スナックメーカーに入社。工場で工程改善の業務で成果をあげ、研究開発部門へ異動。スナックの商品開発、工場オペレーションの標準化に取り組む。その後、同商品のマーケティング担当を経て、ブランドマネージャーとなる。業績改善に取り組み、新商品発売サイクルの定着化、ブランドサイトの立ち上げを行う。転職後も食品メーカーでブランドマネージャーとして4ブランドの指揮を執る。

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