リーダー語録:柳川舞さん1
オーストラリア総領事館で働きながらプロボクサーとなる
私は、高校卒業後にオーストラリアに渡り、現地の大学に入りました。「将来は映画監督になってドキュメンタリー作品をつくりたい」と思っていましたが、それで食べていくのは難しい。そこで方向転換をし、「マーケティングのメジャーをとろう」と大学院(master of commerce)に入学しました。学費を捻出しないといけないので、シドニーフィッシュマーケット内の日経企業に「経理とマーケティングの仕事をするから学費を出して欲しい」と掛け合い、了承をもらう。それから、昼間は魚屋フィッシュマーケットで働き、魚くさいまま夜は大学院で勉強する日々を送りました。
30歳のとき日本に帰国し、福岡にあるオーストラリア総領事館で商務官として仕事をすることになりました。ここでは、オーストラリア企業の誘致や貿易促進のため日本のバイヤーを現地に連れていくことなどをしていました。それと並行してボクシングを始めました。きっかけは、人生の価値観を大きくシフトさせるある出来事が起こったこと。どうしても怒りの感情が消せない。気晴らしをしてもすぐにそのことを思い出してしまう。エアロビくらいでは収まらない。「いっそのこと殴るのはどうかな?」と思い、ボクシングジムに通いました。
ジムのトレーナーは、パンチドランカー気味のおじいさんで数がカウントできない。練習を10ラウンドしても、「まだ4ラウンド」と言って、結局20ラウンドくらいすることになる。過酷な練習できつかったですが、8ヶ月でプロのライセンスを取得できました。プロになって2戦目の相手が風神ライカさん。当時、3階級を制覇していた世界チャンピオン。「チャンピオンと戦う経験も悪くない」と思っていましたが、いざ対戦すると半殺しの目にあいました。ボクシングの練習は正直きついです。でも、何もかも忘れて目の前のことに集中する。そして、トレーニングの合間に少し隙間の時間があると楽になる。この感覚が気持ちいい。究極にマズイことが起きたら、ボクシングをすることをお勧めします。
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