Leaders1000 リーダーが語るの人生の軌跡

vol.008 今西良光さん

2015/09/23 (水)
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今西良光さん

株式会社wizpra
代表取締役CEO

企業と顧客との間のコミュニケーションの見える化を行うサービスを展開する株式会社wizpraを創業した今西さん。起業して2年ほどですが、大手企業を中心に次々に顧客化し、急速な勢いでビジネスを拡大させています。今回は、ビジネスを始めるきっかけになった会社員時代の経験やMBA時代のこと、将来のビジネス展開についてお聞きしました。

部下の一言にショックを受ける

私は、2013年に起業しましたが、それまでは会社に勤めていました。そのときに、部門内のコミュニケーションで悩んだり、雰囲気が殺伐としていて、働きづらさを感じたりすることがありました。また、「今までこうしてきたから、こうしよう」というような前例主義的なところもあり、自由に発言したり、行動することが難しい面もありました。「僕がリーダーなら、もっとポジティブなコミュニケーションを増やして、みんながイキイキと働ける場所にするのに…」と一社員として強く思っていました。

数年後、自分がマネジメントの立場になったとき、ある部下から自分が以前感じていたことを言われることがありました。当時は、店舗を管理する立場でしたが、1店舗に100名程の人が働いていました。それに自分自身の仕事もあります。とても一人一人のことをケアする余裕はありません。そんなとき、自分から見て働きが物足りない部下に注意したところ、「今西さんって全然私たちのことを見ていないのに、何でそんなことが言えるんですか!」と言われました。そのときに「はっ」とさせられ、返す言葉がありませんでした。

恐る恐る実情を他の人に聞くと、その人は頑張っているとのこと。自分の力量のなさに愕然としました。ショックでした。自分自身がつらい経験をしたことから、「一人一人ときちんとコミュニケーションをとろう!」と考えていたのに、実際は全然できていませんでした。そのとき、「こんなことでは誰も幸せになれない。人数が多くてもチーム内でコミュニケーションがとれる仕組みをつくりたい!」と考えるようになりました。ただ、具体的なアイデアが浮かびません。それを探しに早稲田のMBAに行くことを決めました。

今西②

MBAでビジョンを固め、創業仲間を集める

MBAで得たものは二つあります。一つは、経営者としての倫理観です。ある授業で、不正会計をテーマにしたクラスがありました。そこで、「自分が社長の立場になったときどう判断するか?」をトコトン考えました。本を読むだけでなく、ケースで追体験したことにより、自分の軸が決まった感じです。ちなみに当社では、経営陣の中で決めたことがあります。それは、意思決定の判断基準を「決定までの過程や内容をきちんと社員に話せるかに置く」ということ。内部でごまがしがあれば会社を継続できないとの想いからです。MBAに行かなければ、このような倫理観を持たずに安易に起業していたと思います。

二つ目は、仲間をみつけたことです。例えば、共同の創業者はMBAの同期です。たまたまお風呂に入っていたとき、今のビジネスのアイデアが浮かびました。すぐに彼に、「明日の朝イチにプレゼンをしたい」と連絡し、内容を話しました。すると、すぐに「やろう!」と言ってくれ会社がスタートしました。また、バグだらけのデモを使ってもらいフィードバックをいただいたり、信用力が全くないときに自分が顧客になってくれたり、他の顧客を紹介してくれたりする人もいました。彼らの助けがなければ、今の段階まで来られたかわかりません。

MBAの授業ではケーススタディがあります。そこで、いろいろな人とディスカッションをしている内に、お互いの考え方や価値観が段々とわかってきます。なので、志を共にし、一緒にビジネスを立ち上げる仲間を選ぶにはとてもいい環境です。また、起業を目指している方も多いですし、先生からのバックアップもあります。MBAでは多くの方から協力を得ることができますので、起業をする上でとても恵まれた環境だと思います。

今西③

すべての人がイキイキと働ける世の中へ

現在は、主に二つの軸のビジネスをしています。一つは、「社員間のコミュニケーションの見える化」。もう一つは、「企業と顧客との間のコミュニケーションの見える化」です。これは、「サービス・プロフィット・チェーン」の考え方がベースにあります。つまり、「社員満足度(ES)の向上→顧客満足度(CS)の向上→利益の向上→ESへの投資」という循環です。

一つ目の「社員間」では、サンクスカードのWEB版のサービスを始めています。社員やバイトの離職の多くは、承認されない、放置される、疎外感があるといったことに原因があります。それをなくすために、孤立している方がいる場合にアラートを出したり、お互いに褒め合う仕組みを導入しました。

二つ目の「企業と顧客間」では、NPS(Net Promoter Score)という顧客の感情やロイヤルティを数値化し、定点観測するサービスを始めました。顧客からの生の声をリアルタイムで集計、分析し、どの点に顧客が不満を抱いているかを即座に抽出します。そして優先順位付けをし、すぐに改善に取り組むことで顧客満足度を高めることを目的にしたサービスです。導入してからまだ2年ほどですが、お陰様で、読売新聞社やリクルート社、ヤクルト球団など幅広い業種・業界で採用していただいています。

将来的には、いろいろな企業のインフラを構築できるような企業にしていきたいと考えています。例えば、セールスフォース・ドットコムやオラクル、SAPなどのように、当然のように当社のサービスが入っているイメージです。そして、多くの企業に使っていただき、働いている人の幸福度を上げていければと考えています。特に、自分自身がそうでしたので、大企業に勤めている人たちが笑顔で働いている。みんながイキイキしている。その手元に当社のサービスがある。そんな光景を夢見て日々、仕事に取り組んでいます。

今西④

プロフィール

新卒で日立製作所に入社。IT基幹システムの営業に従事した後、ファーストリテイリングにてユニクロ店舗のマネジメント業務を経験。その後、早稲田大学大学院を経て、2013年3月に株式会社wizpraを創業。主な受賞歴はCVG2013経済産業大臣賞、関東経済産業局長賞等。

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